YAKUMO 681L 糸調整皿メンテナンス

ミシン[SEWING]

工業ミシンを1年ぶりに使ってみたら、糸調子がおかしくなっていたので、それを調整しだしたら色々な所のトラブルに遭遇して、その時の記録です。

そもそもミシンのメンテナンスなんて詳細の事項の説明書もなく、お得意のネット検索でも全く情報が得られなくて、ミシン購入店の情報を元に自己解決した。

問題状況

上記赤枠が問題状況です。
縫い始めから黄色丸印の箇所までの状態とそれ以降で糸調子が反転している事。
もちろん、反転以外にも、表面と裏面を見た場合の糸調子が全くのデタラメ状態。

問題解決プロセス

まず上糸の糸かけ部分を丹念に調べてみると、どうも糸案内の箇所で糸のストレスが強い事がわかり、その部分は、エアースプレーで掃除し、更に綿棒などで掃除をしてみた。
その部分のストレスは減少した。
更に上糸調子つまみの箇所を分解などをしてみたが、どうもそこで組み立てミスもあった模様。

下糸のボビンケースの箇所ですが、赤丸印にツメの所があり、上記状態が正しい状態ですが、このツメがボビンケースの外に外れていた。
写真で撮ると大きいですが、実際は結構小さく、注意深くみないとわからないのです。

上糸調整皿の修正

あれやこれややつている時に、どうも上糸調整皿の設定を間違っていたので、以下に正しい設定を記録しておく。

これが正しい状態。
ですが、長くほったらかしにしておくと、ここにもホコリが詰まったりもしますので、分解方法を知っておかなければなりません。

以下順次この箇所を分解していきます。
各部品の向きが重要です。

上記糸調子皿の間に糸を通す事になります。
この調子皿は表面と裏面の形状が異なります。
文字の「M」を外側に向けるように配置すれば良いです。

こんな順序などは正式な説明書を見ても書かれていません。
簡単な事ですが日常メンテナンスとして重要です。

結果

正しく各部品のセットをし直して、一般的な糸調整として、上糸調整のつまみと、下糸のテンションを変更して調整した結果です。

1から4に向けて調整した結果です。
ここでは、わかり易いように、上糸は赤色、下糸は白色にしています。
上糸と下糸の交差する箇所を結節点と言いますが、適正値は、結節点を布厚の中心に来る事です。
それによって、表面からは下糸が見えない、裏面からは上糸が見えなくするように調整して行きます。
上記画像はクリックで拡大できます。
3だと裏面から表面の上糸:赤色が見えがちになっているので、上糸を少し強くして、4の状態を得ています。
4でも幾つかの点で、表面の上糸:赤色が見えますが、今回は、デザインとして糸を見せる事はないので、これでよしとします。
なを基本的には、下糸で縫いの絞まり強さを調整し、それに併せて上糸を調整つまみで合わせて行く事になります。
下糸の強さは、基本的な方法はありますが、皮などの厚物では、経験値として実際に縫う生地に応じてカットアンドトライで決めていくのが普通のようです。

もちろんそういう経験値情報がいやな人はいます。

数値管理したい人は、テンションメータで管理します。
テンションメータなどは、経験値情報で仕事をしている人達がほとんどの街のミシン屋でも保持している所は極小のようです。

私は、JUKIで正式な工業ミシンの基礎教育を受けているので、こういう物の存在を知っている為にそろえています。

まとめ 再発防止策

今回の経験での糸調子の調査箇所。
・糸が古くないか
→ 糸の油などが枯れてテンションがかわってくる。
下糸を新規に巻き直して見る事も場合により必要。
・糸案内がスムーズか → 微少なゴミが影響する事もある
・糸かけ道が正しいか
・上糸調整つまみも分解してゴミなどをチェックし正しく組み立てる事
・ボビンケースのツメが外れていないか

上糸設置時は、以下を確認しておく
・針位置は一番上=天秤の位置が一番上
・押さえも上げておき糸がスムーズに動くようにしておく

また糸設定時最初に下糸を拾う時に、スムーズに下糸が拾えるかも考察が必要。
下糸がスムーズに拾えないという事は、釜やボビン等にトラブルがある事を示唆している場合が多い。
上糸の針近くの糸案内に糸が通っていないだけで、下糸が拾えない事もある。

いや~良い経験になりました。