カメラマンの為の動画Log撮影の理解
動画関係を扱うと直ぐに Log撮影が云々という事項が出て来ますが、あまりうまい解説をしている所がないようなので、私的に理解した物を「カメラマンが理解する」と言う事で説明します。
カメラの世界の色関係
カメラの世界で関係する言葉は以下のような物があります。
主に色域を定義する :
sRGB adobeRGB JapanColor2001等
データ収録を定義する :
jpeg RAW Tiff等
画像の色味を定義する : 各カメラ会社固有となり
SD(スタンダード) VI(ビビッド) FL(フラット) PT(ポートレート)等
動画の世界の色関係
なるだけカメラの定義に関連するように示すと以下のようになるでしようか
主に色域を定義する :
BT2020 Rec.2020 Rec.709 DCI-P3 EBU
データ収録を定義する :
mov mpeg avhc Proress BMRAW
画像の色味を定義する : 各カメラ会社固有となり
v-log n-log s-log
→ この部分はLog撮影の理解の為に記述しており 厳密には違います。
上記のような対比だと思えば 特に問題はないと思えます。
静止画カメラの場合には、たかが画像データが大きいと言えど、1枚のデータです。
動画は連続するデータなので、非常に膨大なデータになるという所が根本に違いがあります。
動画を扱うのであれば、なるだけ小さくまとめたいと誰も考えるわけで、それを主としてLogデータがメインに出てくるようになってきました。
一言で言ってしまえば、Logデータというのは、カメラ的に言えば 後処理が有利な FL(フラット)データにあたる物と 定義できます。
動画でもRAW収録ができる物もありますが、まだ一般的ではありません。
そうした場合、後行程で色修正を行いたい場合には、なるだけ修正しやすいデータで収録したいわけですよ。
その時に、高輝度と低輝度に関しては、人間の視覚特性上鈍感なので、特にここの色領域に関しては、データの階調を圧縮させているが特徴になっています。
人間の感覚というのは、色の数値にリニア(線形的: 比例的)には反応しないので、対数(例えば入力値が10違って初めて 出力値を2変化させるとか)という形で色を変化させて行きます。その意味で 対数=Log という言葉が使われています。
カメラでのFL(フラット)データも実は、Logという階調圧縮をしていると思われます。
ちなみに、カメラの世界では、よくカラーマネージメントでプロファイルを作成して云々という事がありますが、どうも、動画の世界にはそれがありません。
その意味は、動画というデータ量が多い為に、それらを毎回プロファイル変換する時間がないというのが現実なのです。
それでは困る世界もあるので、表示モニターの方がハード的に、例えば、rec.2020に対応した、画像表示ができるものがあるというのも うなずけます。
まとめ
動画で 色味を後行程で修正する事を考えるのであれば、
効率性から言えば Log撮影が一般的・効率的です。
更に、そのLog撮影されたフラットなデータを、まともな階調として表示してくれる Log撮影されたデータを まともな階調に表示する LUT(ルックアップテーブル)が必要です。
RAW撮影した場合には、RAWデータを一端 Logデータにする事は、機構としてあっても良いのですが、無意味です。
RAWデータから、直接LUTを利用して、最終的なデータを作れば良い形になります。
但し RAW撮影時にも、その撮影データ内容を見る必要があるので、Log変換テーブルは、RAWデータにくっいてきており、それを元に見ている物と思われます。
Log収録 –> Logデータ –> LUT –> まともな画像
RAW収録 –> (Logデータ) –> LUT –> まともな画像
但し LUT適用時には、当然、出力のカラー域も限定された物となるので、適切に運用が必要です。
例えば Nikon配布の 3DLutに関しては、出力カラー域は rec.709です。
その他の最新のrec.2020などに対応する為には、他のLutが必要となります。
RAW撮影では、撮影後に出力対象の色領域をある程度自由に変更が可能ですが、Log収録に関しては、Log収録された時点で、色領域は固定ですので、その適用に関しては、最終表示デバイスまで決定された上で収録する必要があります。
まぁ現在のYoutubeレベルなら rec.709 で十分ですが、HLG/PQ対応された画像を作るには、RAW収録+適切なLut が必要となって来ると考えます。
お断り
推測の元での内容で、検証が済んでいませんので、間違いがあるかも知れません。
近々にも Nikon Z6 + NINJA V でProress RAWで検証してみたいと思います。