Lumix S1 ハンズオンレビュー

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Lumix S1 を中心に触ってきた感想を以下に示します。

S1 + 24-105mmF4 を手に持った瞬間、ミラーレスではありますが、筐体の大きさは通常のフルサイズデジタル一眼レフとそれほど変わりません。
男性の中でも手の小さい私ですが、カメラの筐体は大きくても良いのです。
グリップの箇所を中心とした持ちやすさがあれば良いのですが、それでもグリップハンドリングは少し大きめです。
日本人女性にとっては、持ちにくいのではないかと思えます。
また、ミラーレスにしては、筐体の厚みも結構ある感じがしました。

そしてファインダーをのぞくと、一瞬でわかりました。
現存するミラーレスのEVFの中で、Nikon Zシリーズを抜いてしまいNO1だと思います。
きめ細かさは、さすがですよ。また歪みなども感じられません。
まるで中判のファインダーをのぞいている感じがしました。

メカシャッターのフィーリング

そしてシャッターをきってみる。
シャッター音はZ7と同一系統ですが、Z7よりも音が大きく、少なめですが、シャッターショックもあり、メカとしてのシャッターの作り込みの甘さが感じられます。

AFの速度

AFはE-M1Xと比較すると若干遅いかなぁと言うレベルです。
コントラストAFにディープラーニングを応用したDFD2を使っており、マイクロフォーサーズのDC-G9よりさぞ進化しただろうと期待を持っていましたが、あまり優位性が感じられません。と言うか、速度だけを見れば、G9の方が上です。

シングルシャッターのレスポンス性

いつもの三三七拍子テストをしてみました。
S1Rは速度を落とせばできますが、Z7レベルでは不可。
S1はZ7並にできるようです。
しかしこれって S1は24M  Z7は45Mです。
Nikon Z6 の方が早く奏でる事ができます。
Z6のそれは、シャッターをきるだけなら、Nikon D5 並にできるので、これは頂けません。

最大の問題点

一番の問題箇所を目にしました。
シングルシャッターではブラックアウトが入ります。
一瞬であれば良いのですが、シングルシャッターで指連射すると、なんと言うことでしょうか、ブラックアウトが継続して、ファインダー上で被写体を確認できない状態が続きます。私の経験から言ってこれは、あり得ない振る舞いです。

ファインダーの揺らぎ

EVFファインダー自体の性能は素晴らしいです。
しかしながら AFが合掌するたびに、画面全体が若干明るさが揺らぎます。
これはDFDによるAFを行う為に、センサーから2枚の画像を取得する為に発生しているのではないかと思えます。
そうであるならば、これは基本設計問題として永続する可能性があります。

私のように、シングルシャッターで数千枚を撮影する人間にとっては、このちょっとしたチラツキ=露出変化は ストレスがたまります。

総じて、DC-G9は誰をしても、結構完成度の高いカメラと認識されており、それだけの事をやってきた経験があるのだから、万全を尽くしてリリースした初フルサイズに対しても、完成度の高さを誰しも期待したと思います。

ちょうど電車の走行を横から撮る事ができました。
シングルシャッターで連射して行くと、画像の一瞬の滞りが確認できました。
しかしほぼ全てのミラーレスを知っている私にとっては、完成度という点では、なぜG9より落ちてしまったんだろうと 言わざるを得ません。
全体的な機能バランスに若干不自然さがあります。後半年レベルでもう少し熟成させる必要があったのではないかと思えます。

もちろん、撮影したデータを大きくパソコンで見てはいないので、画像データの完成度は評価していません。
S1に関しては、ISO6400は普通に使えてしまえるのではないかと思えます。高感度がかなり良さそうです。

非常にマズイ事になると思えます。
事前のプロカメラマンからのフィードバックが非常に甘いのではないかと思えます。
月産生産台数が低いというのも、それは製品の出来を判断しての事なのではないかと勘ぐってしまいます。

多いにS1の購入の意思があっただけに残念ですが、今回は、この私でも購入はパスせざるを得ません。

逆に現存するミラーレスの中での王道は、Nikon Zシリーズという事になりました。
E-M1X は 唯一Nikon D5 の背中まで迫ってきた 動体撮影能力持ったものです。

結局カメラを知ったメーカでないと、なかなかにフルサイズミラーレスのハードルが高いのではないかと思ってしまいます。
来年オリンピック前に出るであろう スポーツ系統のフルサイズを待つ事にします。