DaVinci Resolveはwindowsではカラマネされていない

動画[MOVIE] PHOTOGRAPH[写真]

経緯

写真を動画に掲載した場合、DaVinciでの編集時及び編集後にyoutubeにアップした動画の色について、元の色が正しく表示されないという問題を認識していた。

特に微妙な彩度を伴った女性の肌色のある写真は、非常に違和感が出ていました。
これらを解決しないと、今後の動画品質が落ちるので、そのあたりを調べてみましたた。

結論

windows版DaVinci Resolveが、編集画面に表示する内容は、カラーマネージメントされておらず、windowsシステムに登録されたディスプレイプロファィルを利用していない事が判明しました。

これはDaVinciの問い合わせ窓口に確認した事。
なをMacでは、OS提供のカラマネを利用してディスプレイプロファイルを利用して、カラーマネージメントが行われ正しく表示される模様。
(当方Macを保持していないので自己確認はしていない)

ディスプレイプロファイルの解説

この図は、一般的なカラーマネージメントされているツールであるphotoshopなどが、画像データを入力し、ディスプレイに表示する時には、そのディスプレイのカラー特性を記述したディスプレイプロファイルに基づいて、編集データの色をディスプレイ用の色に変換して、表示している事を示しています。

これによって、編集中のデータがadobeRGBでもディスプレイの色空間がそれよりも狭い領域しか持たないsRGBのディスプレイに、ある程度正しく表示できる事になります。

Macでは、このあたりの表示における出力側ディスプレイへの色変換は、ツール側がでは実施せず、OS側で実施しているので、話しは簡単です。

ところが、windowsでは、出力側ディスプレイへの色変換はツール自体が行わなければならないので、各ツールが個別にその色変換機構を持つ必要が発生しています。

静止画を扱う多くのソフトウエアでは、この機構をツール内部に保持しているので、大きな問題はありません。
厳密には、カラー変換モジュールがツール個別になるので、その辺りの違いはあると言われていますが…

インターネットで動画視聴時のブラウザー問題

Edgeゃchromeでは、静止画については、明確にディスプレイプロファィルを用いたカラーマネージメントがされています。
例えば、sRGB写真画像であろが、adobeRGB写真画像であろうが、ツール動作時にディスプレプロファイルを参照して、正しく色を変換して表示を行っています。

しかしyoutube等の動画ファイルに関しては、動画に設定されているプロファイル情報はブラウザーでは処置なしとして表示を行っているようです。

例えば 動画ファイルが REC.709の場合
ディスプレイプロファイル状態によって
・adobeRGBの場合 色に関しては 正しく表示されない
・Rec.709 の場合 動画ファイル=表示環境が同一なので 正しく表示されます
・sRGBの場合 ほぼ Rec.709に近似して表示(*1)されます

(*1)Rec.709に近似して表示される意味合いは、sRGBの色の強弱の度合いを示すガンマ2.2に対して、BT.709(=REC.709の色域+ガンマ)のガンマ標準が、ガンマ2.4なので、若干違って表示されるかも知れない。

ディスプレイの個々の変動

ディスプレイにadobeRGBやsRGBを表示する能力があっても、ディスプレイ自体個々の変動があります。また、経時変化もあり、表示能力の安定性・正確性の為には、ディスプレイプロファイルは、実際に動作させるディスプレイ毎に作成する必要があり、この為に i1 Display Pro 等の色を測色しディスプレイプロファイルを作成する機器が必要となってきます。

i1 Display Pro (X-riteの画像を流用)

windows版DaVinciの問題点

ところがカラー編集が得意なハズのwindows版DaVinciでは、このディスプレイプロファイルを読んでいないので、ディスプレイ表示に関しては、正確性は失われています。

これは、私は 大問題 だと判断します。

特に動画編集ソフトでは、数年前まではマイナーであった為か、そういう所まで注意が行っていないのだろうと思います。
但し、DaVinciには、特別なハードウェアを付けて、色の正確性を保持した画像を表示できる機構がありますが、編集画面できちんと見えないというは、今時のソフトウェアとしては、機能不足と考えます。

windows版DaVinciでの解決案

1.カラーマネジメント・モニターの導入
コストはかかりますが精度・使い方において良いと思うのは、広色域(adobeRGB100% 将来的なHDR対応を考えるのであれば DCI-P3対応も含む)モニターを導入し、REC.709をターゲットとして、個々のモニターのキャリブレーションを実施しディスプレイプロファイルを作成・運用すれば良いと思います。

要は、ディスプレイプロファイルの処理しないDaVinciは、(設定によるが一般的には)Rec.709として表示する色を作り出しています。
ディスプレイ側が Rec.709であれば、ほぼ正確に表示はできます。

将来的に HDR対応を考えた場合には、必須になると思います。

2.sRGB(色域100%)モニターの導入

Rec.709の色域は、sRGBと同一なので、厳密な事を考えなければ、sRGB(色域100%)を満たしたものであれば、個々のモニターのキャリブレーションをしなくても、大まかには、問題がないと思います。

色の編集をシビアにしない人には、この程度で問題が発生する事は少ないと思います。
しかし、プロあるいは動画のパワーユーザで色の編集も行う人達には、ハードウェアキャリブレーションの行えるカラーマネージメントモニターの方が良いと判断します。

プロの写真家さん達へ

よくyoutube動画に写真評価しているじゃないですか…
色関係について非常にセンシティブになった方がよいかと思います。

上記内容は、Labの色域で L値91の箇所を表しています。
赤色 Rec.709
白色 adobeRGB

そしてLab値でLab=(91,10,15)は普通に女性をストロボ配下で撮影した 肌色が残っているハイライト部分ですが、既に、Rec.709の色域をオーバするくらいの箇所にあります。

当然ですが、写真を動画に掲載する場合には、写真画像を事前にadobeRGBからRec.709にすると思いますが、その場合のレンダリングインテントは、多くの場合、知覚的を使っていると思います。

そうすると当然の事ながら、本来写真画像に保持されている女性の高彩度の肌色の階調は失われてしまいます。

よって、通常の動画で幾ら4kにしようが、色域がRec.709では、元の写真の色味でていないのです。

この事は、銀塩プリンターで出力する時にも同一です。
銀塩プリンターで綺麗な女性の肌色のトーンは印刷できません。

動画で写真機の色の質をレビューはできない事を示しています。
もちろん 元画像がsRGBであれば、sRGBとRec.709は同一色域ですので、違いはなくなりますが、そもそも、sRGBで綺麗なお姉さん写真は撮れないのですよ。