撮影テクニック

写真の色についてⅡ

写真引用元

kidsDanceM
既に15年以上撮影で懇意にしている所で写真掲載によく使わせてもらっています。

技術内容

上記TestSample写真は、カメラの色温度を電球色にして撮ったままの画像です。
通常だとこのような画像が多いのでないかと推測します。
この写真が実際の舞台の感じがするという感想もある事は承知しています。

私がこれを見た場合、肌が赤いし、まるでお酒を飲んで酔ったようだし、衣装の白も赤みを帯びています。
本来グレーであるリノリウムも赤系統になっています。

これを以下のように現像して色のかぶりなどを撮ってみます。

こちらの写真が、お客様への納品写真になります。
あまり補正しすぎないのが、ポイントになります。

舞台上の考察課題

舞台上の光の状況を説明する為の図です。

舞台の奥にいる人達AAは、照明があたっている箇所が、下半身のみという場合が多いです。
特に発表会では、こういう位置で踊ってしまっている事もよく見かけますが、これでは、観客にもよく見えません。

また照明によっては、踊っている人のチュチュが上からの照明によって、その影が白タイツに影響を与え、まるでそれが、観客にはスパッツのように見える場合も過去にありました。
本来はこれらは、ゲネプロ時に確認を行い、照明や立ち位置の変更をすべきものです。

基本は、舞台中央で照明が十分にあたる C の箇所で踊るべきです。
こういうAAの場所の写真は、光が十分でない事や、その為に色も赤みを帯びた物になりやすいですが、それらは現像作業によって、ある程度は修正可能です。
しかし問題点は、光のコントラスト(光の強弱)が少なく、見栄えが悪い物にならざるを得ません。

また、人肌色は、照明が来ていて初めて、その生き生きさが出てくるものです。

よくソロバリエーションに多いのは、舞台脇後方から B のような所から始まる場合があります。
これらも、踊りを見せるような所ではない場合は多いです。
本来であれば、舞台上で光りのある所まで移動してから、踊り出しをすべきものだと思えます。
もちろん振り付けの効果として、意識的にBから始まるという事もあります。

特に全幕物で、例えば舞台上で、メインの方が中央で踊って、それ以外の人達が、両脇に別れているパターンも多いですが、そういう振り付けをされる場合には、舞台照明効果まで意識した振り付けをされる必要があります。

プロの舞台公演の照明では、そのあたりがよくコントロールされている場合は多いですが、発表会になるとそのあたりが、あいまいだったりする事も多いです。

写真撮影では、これらを踏まえて、暗い箇所を撮影する時と、明るい箇所を撮影する時で、ある程度の露出変更作業は必要ですが、更に現像作業で、露出だけでは制御できない、色のコントロールまで実施して行く必要が発生します。

写真撮影時に、照明のあたっている所暗い所を判断して、動的に色温度や色合いを変更して行く事は、まず不可能ですので。

舞台写真の色について

[演目]

KidsDanceM創作バレエから。

[技術的課題]

これは創作群舞の最後のシーンで、写真撮影からすれば、単に撮ればそれで済むような物ですが、撮っただけの画像では、上記写真は得られません。
センター中央でリフトアップれされ照明があたった女性と、舞台脇の人達及び、左上の月、それらの輝度差はかなり大きい事が原因です。
センター中央の女性は、白飛び気味の箇所に露出を合わせると、月や、舞台脇の人達の露出が落ちてしまいます。

これらを適切に写真にする為には、写真撮影後、現像作業が必須となります。

まずは、白飛びさせない範囲で最高輝度である女性をの輝度を落とします。
その中で、暗部箇所である舞台背景及び舞台脇の人達がある程度確認できるレベルまで、輝度を上げます。

もちろんこれら輝度の変更作業と共に、全体の色味が、この演目に合うように濃紺の背景を中心に、センターリフトされた女性の肌色も注視しながら、色温度、色合い、コントラスト、彩度をコントロールします。

言葉にすれば、色々と調整するように思われますが、実際の作業では、色は全ての項目が相互に作用しているので、それらパラメータを経験によって、一括コントロールして行きます。

私の所で撮影する写真に関しては、数千枚の写真でも、1枚1枚この色のコントロール作業を実施しています。
数千枚の現像作業は一般的には大変と思われますが、既に、過去何十万枚の写真の現像作業を行ってきたかわかりませんが、写真を一瞬見たでけで、現像方向を決定して品質良く効率的に作業するのは、経験が必要と思えます。

バレエ ジャンプ特集

演目

2018年1月20日 バレエスタジオKidsDanceM  おさらい会より
発表会とは少し異なり、各人あるいはグループとしての技量発表の場としておさらい会が実施された模様です。
今回のおさらい会では、ソロバリエーション中心に、パドドウ、創作物中心にチャレンジされていました。
その演目の中から、ジャンプ物を選択してみました。
皆さんよく飛んでいますね~。

撮影テクニック

私としてはバレエのパの中でも、簡単な撮影だと思っていますが、ジャンプは絶対外さない!  という思いも心にあります。
昔は、ジャンプ物でもピント精度上イマイチな頃がありAF-C等は使わず、全てAF-S(シングルシャッター)モードで撮影していました。
最近は、カメラが優秀になり、カメラのAFがある程度動態を追ってくれる事もあり、カメラマンは、タイミングを合わせてシャッターを切るだけになってしまいました。
バレエ経験がありジャンプのタイミングを知っている人達にとっては、ちょっと練習すれば、誰でも上記写真は撮れそうに思ってしまいます(^^;)
最近ミラーレスが流行になりつつありますが、ミラーレスの連射機能を使えば、上記写真は撮れると思います。
しかし、1回の発表会で1カットずつの撮影で数千枚を撮影するのに、そんな連射機能を使ったとすれば、後行程作業の煩雑さや、自分の撮影技量の向上にもつながらないと思えます。
上記撮影のカットは全て1カットで撮りきっていますが、ミラーレスではこういう撮影の基本がほとんど出来ません。
2020年オリンピックに向けてミラーレスはどんどん改良されていますが、最終的に1カットで上記写真が撮れる性能になる事を期待するばかりです。

補足

2018年5月5日 上尾市文化ホールにて 同バレエ教室が、20周年記念としてバレエの大作「ドン・キ・ホーテ(全幕)」(無料)を演じられます。
協力してくれる男性ダンサーも各有名バレエ団の方々が10名も参加した作品になり、私もとても楽しみにしています。
詳細は本バレエ教室のHPを参照してください。