2012年07月

創作バレエ(Aile)

[演目/主催者]
バレエスタジオ エル(Aile)主催者 阿部純子さん。
彼女創作の生バイオリン演奏の元での創作バレエ 「遙かなる弦の調べ」から「バレエを思考する」。

[写真的考察]
通常のバレエの写真ですと、背景の色もある程度出すような現像作業を実施するのが普通です。
バイオリンの単線に合わせて踊られる コンテポラリーの部類に入る ソロダンサーの写真です。
このような場合には、背景を見せる必要はありません。
撮って出しの写真でもある程度の結果は期待できるものですが、背景黒、被写体白 という場合、得てしてコントラストが強くなり過ぎたりします。
また、衣装の白の質感を出すという事も必須事項です。
白トビなどもってのほか。
スタジオ写真のような写真を心がけて現像を行うという事になります。

[トピックス]
カメラマンである私は今もバレエを習っています。
20年くらい前には「スタジオ一番街」というオープンスタジオでレッスンを受けていました。
主に子供主体という事でなく、大人がバレエレッスンをするような所でした。
逆に中学生くらいが来ると目立ちます。
その中で中学生くらいの女の子があるクラスに出ていましたが、その時のバレリーナさんが、バレエスタジオエルさんの主催者になったようです。
時は巡り中学生の女の子はバレエダンサーに、IT企業のエンジニアはバレエカメラマンに 20年という歳月は、人の強い意志の方向に人を変えて行くようです。
[ご案内]
2012年8月18日 16時30分開場 グリーンホール相模大野 にて バレエスタジオエルさんの発表会(無料)が行われます。
バレエ発表会3回目ですが、隅々まで神経の行き渡った舞台が見られると思います。

Summer Dream 創作バレエ(Aile)

[演目]
Summer Dream ~未来への協奏曲~ 創作バレエ
バレエ教室の発表会で演じられた物ですが、
情熱の都/希望の街/初恋の小路/追憶の丘/嵐の谷/ひまわりの道へ
という小タイトル毎に、群舞+ソロが踊られて行きます。
その作品の終わりのポーズです。
[主催者]
相模原市にある バレエスタジオ エル(Aile)さん。
今年で4年目くらいだと思いますが、主催者がイメージ豊かな方で、物語のある創作バレエに特徴があります。
主催者のイメージが、うまく生徒さんに伝わっている事が感じられました。
[写真的考察]
D3S + 200-400mmF4
発表会終盤のエピローグの最後のシーンです。
時折こういうシーンがありますが、実際的には、これの半分くらいの明るさだったでしょうか。
このポーズを撮って照明暗転。
この手の物は時々、照明がいきなり暗転になってしまったり、写真を撮影するタイミングがない場合もあるので、早めに押さえの写真を撮って、照明がじょじょに暗転して行く中で、良い感じの所をもう一枚撮影するのが、仕事としての安全な撮影と考えます。
生の舞台ですから予期しない事も発生します。
そういう予期できない事も、推測の範囲内にして仕事をして行く事が撮影の仕事という物だと考えています。

こういう物はイメージ的な写真にする事もできますが、発表会の写真ですので、個人毎のお顔がきちんと確認できるように、撮影・現像する必要があります。
見ての通り、スポットライトの中心にいる人はきちんと顔に照明が来ていますが、前2人には照明が来ていません。
これを救う為には、現像段階で最高輝度にある所と、照明の来ていない人の顔の輝度をバランスよく、明るさを再配置致します。

重要な事は、カメラまかせにせず、カメラマンが望む写真を作成するという事が、バレエの写真に関しては必要なのです。
バレエは元々非常に厳密な物です。
そういう厳密さに負けないように、更に厳密に正確性を元に撮影すべき事がバレエ写真なのではないでしょうか。

ジゼル 2幕から 全景

[演目]
ジゼル2幕から。

[主催者]
バレエ教室 スタジオアン さん。

[写真的考察]
D4 + 70-200mmF2.8VR2
ジゼルと言えば、白鳥の湖第2幕湖のほとりと同じく、青のイメージが強い演目です。
発表会では出演者の踊りを見せる事が、そのバレエ演目のイメージを表現する以上に大切だと思っています。
よって写真もあまりにも青々した雰囲気でなく、そこに見えるダンサーの肌色をある程度考慮しながら、元のジゼルの青のイメージを再現する事になります。
プロ公演であれば、より舞台上のイメージを強めて、肌色の再現は弱くなりますが、それでも肌色と舞台イメージの青とのせめぎ合いの中で、現像作業を行っていく事になります。こういう色の見せ方などは、幾ら現場での色温度を変更しても、到底現場でのJPEG一発撮りではできない作業です。
というのも、色に関する箇所は、色温度、色合い、輝度をセットとして相互に依存している事、及びカメラのモニタではそれらの微妙な変更も含めた場合、現場作業でできる事ではないのです。
厳密性を求めれば完全にカラーマネージメントされたモニターの元での現像作業が必須となってしまいます。

RAWで撮影するから、撮影時の色温度は適当で良い。
という考え方もありますが、特に、青のイメージの写真を撮影する際には気にしておくべき事があります。
通常の舞台撮影時の色温度は、2900k~3200kくらいの いわゆる電球色モードが標準になります。
しかしながら、この色温度で青のバレエを撮ると、そのモニターに映る色は、真っ青となってしまいます。
また、白チュチュ等も階調オーバとなり気味で、露出の確認に失敗する事が多くなります。
この為に、青のイメージを晴天モード(4500k~5500k)くらいで撮影して、撮影時には色よりも、適切な露出及び階調が保たれている事を確認するのが、大切です。

適切な露出で撮影されたデータを、現像段階において、厳密な色出し作業を行うのが、青イメージ写真の定番の撮影手法になります。