ダンサー

ジゼル

[演目]
ジゼル。
ロマンチックバレエの代表作。
もう何も説明が要りませんね。
技術がなくして踊れませんが、技術だけでなく主演のジゼルとアルブレヒトの感情が表現されてこその演目です。

[ダンサー]
KIDS DANCE Mバレエスタジオ所属の佐藤優美さん。
写真を撮影した時は、若干17歳だったでしょうか。
2012年春より高校卒業後谷桃子バレエ団の一員として活躍されると聞きました。
色々なバレエコンクールの決戦に入賞している実力派です。
17歳という年齢で17歳の役どころ(本当の意味ではとても17歳の役どころではないと思いますが)の感情表現が難しいこの演目を、りっぱにこなされていたと思います。

写真は発表会で2幕のみを取り出して演じられたものでしたが、出演者が写真のダンサー含めてほとんどか高校生以下で構成されたものですが、本当にこんな若い子供達が、一生懸命にジゼルの演目を理解しようとしている事がわかり、びっくりしました。

[写真的考察]
撮影カメラ D3S + 200-400mmF4
写真はジゼル2幕のアダージョから一番音が強く、感情表現豊かな箇所でもあります。
ジゼル2幕と言えば、青のシーンがイメージ的にあります。
発表会での写真は、舞台を目で見たままの記憶色での再現は演技としては良いのかも知れませんが、発表会ではある程度演技者の肌色も生かしつつ、舞台の照明を考慮するという観点が強いと考えています。
なので、肌色と青色のせめぎあいの微妙な観点での、色再現作業が必要になります。
舞台カメラマンとしての非常に重要な資質が必要な所です。
公演の舞台では、個人よりも舞台が伝えるイメージが中心となりますので、同じ演目・同じ照明でも、最終的な画像の色を変えるのが、普通だと考えています。
ジゼルだから青というイメージは、原作に近いとされているメアリ・スピーキング版のジゼル(2012年バレエ協会主催で行われた)では、青ではなく、白黒の世界で描かれています。

[エピソード]
ゲネプロ終了後、彼女の楽屋に伺った所ゲネプロでの自分の踊りに納得が行かず、涙を流していたのが印象的でした。

注意
本当の色はIEではわからないのでブラウザーはSafariで見て頂く事を推薦します。

ライモンダ

ライモンダ第3幕から 大園エリカさん

写真のダンサー
大園バレエスタジオ主催者 大園エリカさんです。
とても素晴らしいダンサーです。
幾つかのバレエに関する著書も書かれています。

演目内容
ライモンダ
特徴的な踊りのシーンが多い演目です。
第1幕では、長い白のスカーフを持って踊るライモンダのパドドゥが有名です。
第3幕のライモンダとジャンとのパド・ドゥでは、女性バリエーションで 手を打つシーンが有名で、よく発表会で踊られます。

写真的考察
撮影カメラ EOS1DMark2
写真のアラセゴンに上がった足は、教科書通りのお手本となるような正確な位置で、身体全体に伸びやかさがあり、軸もバランスも見事に一点に集まったもののように見えます。
自分でも素敵なシーンだと思ってしまいます(^_^)

コンクールなどでは、アラセゴンに上げる足は高いほど得点が高いように思われがちで、必要以上にそう踊るダンサーが沢山います。
私はそれよりも正確な位置でキープできる方が好みです。

プロのダンサーは、初心者に比較して一つ一つのパをお客さんに見せている時間が長いです。
上記写真などのように、普通のダンサーでは、なかなか全てが揃わないのです。
カメラマンとしては、優秀なダンサーのこういうシーンは、10回撮影しても10回同じシーンが撮れてしまいます。

発表会ではアマチュアダンサーの方が多いのが一般的です。
カメラマンの技量としては、どちらかと言えば プロダンサーを撮る方が簡単なのです。
アマチュアが多数占めている発表会では、プロ公演を撮る事とは、別な資質が必要です。

その資質の一つに、写真撮影後の写真のセレクション時には、バレエの一つ一つのパの正確性を理解しておく必要があると思えます。
複数の同一カットを撮影し、その中から良い一枚をセレクトするという作業。
そうなると、究極的には「バレエ教師としてのパのあるべき姿」の知識を持っておく方が良いと思われます。

バレエカメラマンは、なかかなにそのレベルへの到達は難しいですが、それを目指しておく事は最低限必要だろうと思われます。

タンバリンエスメラルダ

演目考察
タンバリンエスメラルダと言えば、そのタンバリンを足で叩く高さが特徴的になっています。
特にこの演目を踊られるダンサーは、それなりの技量を持ち合わせているのが普通です。

テクニカルな内容の多いこの演目はバレエコンクールでも、特にテクニックを持っている人達が踊る率が高いようです。
逆に言えば、一番の特徴であるタンバリンを足で叩くという動作も、頭の上まで足が上がらないとなかかなに、見栄えの良い踊りには見えません。
コンクールではテンポ遅めが難しい部類に入ります。
普通の発表会でもエスメラルダという演目名だけを見た場合、お客さんが期待する所があります。

写真的考察
カメラマンとしてはリズミカルなこの曲は、そのリズムに合わせてシャッターをきれば撮れるもので、簡単な撮影の部類になります。

バレエの写真の優劣というのはどういう事でしょうか。
バレエは人に魅せるタイミングが決まっているものです。
撮影するタイミングが決まっている被写体は、そのタイミングを把握すれば、とても簡単な撮影の部類になります。

通常の写真の世界では、光と影を考慮してそれをコントロールして写真にまとめ上げるのがカメラマンとしての技量です。
ところが、舞台写真では、光と影を明示的にコントロールする事ができませんし、また被写体のポージングに対してカメラマンの声の届く範囲でもありません。

それならば、ある一定以上のバレエカメラマンとしての差異というのはどういう所に出て来るのでしょうか?
これは永遠の課題だろうと思いますが、カメラマンはこの問いに対して自分なりの回答を用意しておかなければならないと考えます。

薄雪写真館のネコ主人(はまなす写真館の物語に出て来るネコさん)が言う「写真なんて修正技術があってなんぼのもの」も一理でしょ。