バレエカメラマン

ドン・キホーテ

[演目]
ドン・キホーテ。
説明も不要なくらい有名演目の一つ。

この演目にはドン・キホーテは出演していないのですが…
騎士道物語を読んだアロソン・キハーノが自分を歴史上の騎士ドン・キホーテになったつもりでの、喜劇のような物語になっています。
これもその騎士道物語に出て来るドルネシア姫を現実世界で探した結果、ある村で、主役のキトリをドルネシア姫とまちがったドタバタ演目になっています。

特に演目の最後に踊られる キトリとバジルのパ・ド・ドゥは、テクニック満載である事から、コンクールでは男女ともに踊られています。

[ダンサ]
KIDS DANCE M所属 宇土恵さん。
各種バレエコンクールファイナリスト・各種賞を得ている実力者です。
基本に忠実で的確な踊りをする素敵な方です。

[写真的考察1]
D3S + 200-400mmF4
写真のシーンは女性バリエーションの出だしの箇所です。
写真のようにスパッとポーズを決めてもらうと、やはりカメラマンもそれ以降の踊りに期待感が出るものです。
コンクールでこの演目を踊る時には、この最初のポーズでほぼ全ての技量を見切られていると思います。
ここをミスすると、後のパは、その取り戻しの為から始まるので、得点はあまり期待できない事になります。
写真撮影ではどんな方でも撮影できる内容なので、逆にミスをしない事やトラブルが発生しない事をかんがえてしまいます。
パ・ド・ドゥでは、男女アダージョ、男性バリエーション、女性バリエーション、男女コーダという流れになっていますが、私の場合は基本的には、バリエーション部分はカメラを縦で撮影し、男女部分は横で撮影しています。

そうすると、各パートに移る真の間に、カメラを縦・横位置を切り替える事なりますが、結構この時に、カメラの水平位置をきちんととるのに神経を使っています。
[写真的考察2]

この写真は、女性バリエーション後半部分で上手奥から扇子を手に、小粋なポーズでリズムを取りながら出て来る場面です。
こういう写真は、極端な言い方ですが、私などはダンサーを見てシャッターをきっていません。
ダンサーをカメラのフレーミングに入れて、音に合わせてシャッターをきっています。
もちろんこういう撮り方が出来るのもダンサーがしっかり音に反応した踊りになっていなければなりません。
発表会ではダンサーの技量の幅は非常に大きいですので、ダンサーの技量に応じて撮り方を変えるのがバレエカメラマンならではの特徴とも言えます。
写真のセレクション段階で、やはり足の伸びた瞬間の物をセレクションする事になります。

[付録]
男性バリエーションでは、出だしのデリエール・ダブルバッチュは見所ですね。
この箇所は熊川哲也さんが、ローザンヌ国際コンクールで金賞を獲った時の映像がすごく刺激的でした。
昴さんが刑務所で初めて踊ったのもドンキでしたが、そちらも刺激的な内容でしたネ(^_^)

ライモンダ

ライモンダ第3幕から 大園エリカさん

写真のダンサー
大園バレエスタジオ主催者 大園エリカさんです。
とても素晴らしいダンサーです。
幾つかのバレエに関する著書も書かれています。

演目内容
ライモンダ
特徴的な踊りのシーンが多い演目です。
第1幕では、長い白のスカーフを持って踊るライモンダのパドドゥが有名です。
第3幕のライモンダとジャンとのパド・ドゥでは、女性バリエーションで 手を打つシーンが有名で、よく発表会で踊られます。

写真的考察
撮影カメラ EOS1DMark2
写真のアラセゴンに上がった足は、教科書通りのお手本となるような正確な位置で、身体全体に伸びやかさがあり、軸もバランスも見事に一点に集まったもののように見えます。
自分でも素敵なシーンだと思ってしまいます(^_^)

コンクールなどでは、アラセゴンに上げる足は高いほど得点が高いように思われがちで、必要以上にそう踊るダンサーが沢山います。
私はそれよりも正確な位置でキープできる方が好みです。

プロのダンサーは、初心者に比較して一つ一つのパをお客さんに見せている時間が長いです。
上記写真などのように、普通のダンサーでは、なかなか全てが揃わないのです。
カメラマンとしては、優秀なダンサーのこういうシーンは、10回撮影しても10回同じシーンが撮れてしまいます。

発表会ではアマチュアダンサーの方が多いのが一般的です。
カメラマンの技量としては、どちらかと言えば プロダンサーを撮る方が簡単なのです。
アマチュアが多数占めている発表会では、プロ公演を撮る事とは、別な資質が必要です。

その資質の一つに、写真撮影後の写真のセレクション時には、バレエの一つ一つのパの正確性を理解しておく必要があると思えます。
複数の同一カットを撮影し、その中から良い一枚をセレクトするという作業。
そうなると、究極的には「バレエ教師としてのパのあるべき姿」の知識を持っておく方が良いと思われます。

バレエカメラマンは、なかかなにそのレベルへの到達は難しいですが、それを目指しておく事は最低限必要だろうと思われます。

ブログを新規にスタートしました

本日からバレエプログを新規にスタート致しました。
色々と綴って行きますのでよろしくお願い致します。

上記写真はあるバレエ発表会の時のゲネプロ時の写真撮影風景です。
バレエはアンファスの芸術と呼ばれています。
よって写真撮影は、アンファスの位置から撮影するのが基本となりますので、舞台の中央にあたる位置から撮影する事になります。
撮影位置はお客様のじゃまにならないように観客席後方からの撮影になります。
舞台全景から個人の撮影まで行う為、カメラも複数台必要です。
デジタルカメラになってから撮影内容は即座に確認できるようになり、フィルム撮影時代より厳密な写真が撮影できるようになりました。
本番撮影時には、カメラの音を漏らさないようにカメラ機材を遮音性のある布で覆ったりする事もあります。

カメラマンも人間ですので、ゲネプロ時にある程度シャッターをきって人間側の指先や頭の回転などのエンジンを暖めておく事も必要です。
いきなり本番撮影… となると、エンストするかも知れませんね(^_^;)